ご挨拶

信楽の里で、炎と格闘し早30年になります。私たち3名の伝統工芸士は、先人からの受け継いだ言葉を大切にしています。 【愛撫の心で土を練れ、生み出す心で形を作れ、炎のごとく焼け】 この言葉を胸に刻みながら、日々ものづくりに努力しています。 信楽大物ロクロ成形技法で、暖かみのある信楽焼の土味を残したまま、顧客のニーズにあった造形や色合いの製品を小ロット、低ロットで生産しています。やきものは1つ、1つ、何かのテーマがあり、それは美しさや楽しさ、味わい深さ、親しみやすさなど様々です。 当社では“環境保全”“癒し”“低吸水性”の3つをモノづくりのテーマとして、技術、技法の研鑽に努めてきました。また、モノづくりの姿勢としては、伝統を守りつつ、常に新しい物づくりに挑戦することを大切にしてきました。これら3つのテーマと姿勢のもとに、お客様の生活に“うるおい”と“やすらぎ”を与えることを目指しています。信楽焼の素晴らしさや当社のモノづくりの姿勢に共感していただき、関係を密にできることを切に願っています。

大物ロクロの成形技術

信楽焼産地は大型の陶製品を得意とする数少ない産地のひとつで、代々伝わる大物ロクロの技術は、当社独自の技法です。 大正時代、奥田三代吉の考案による大物ロクロ成形の作り方は、上部と下部を別々に作ってから接合させます。 継ぎ目の接合と全体の形づくりに高い技術が要求され、現在に伝授されています。この革新的な大物ロクロ技術によって生産が飛躍的に向上し、大型陶器は日常製品として普及し、全国的に認知度を上げていきました。大物陶器とは、縦、横、高さが30cm以上の陶器の総称であり、生産には通常の陶器とは異なる高度な技術が求められます。 大型陶器の産地としては、信楽の他に常滑(愛知県)と大谷(徳島県)があります。常滑は信楽に次ぐ大物陶器の産地ですが、陶土を信楽より購入しており、原材料に関する配合ノウハウやコスト競争力といった観点から、信楽に優位性があります。大谷は信楽より大物ロクロの技術を導入し大物陶器の生産を開始した経緯があり、生産規模が小さく、比較できる規模ではありません。このような理由により、大物陶器の生産地としての信楽焼の優位性が高いことがわかります。 大物ロクロ技術は奥田三代吉氏が考案し、奥田陶器夫氏から当社の重蔵、そして日光に継承された技術です。日本全国で200品目以上ある経済産業大臣指定の伝統的工芸品のなかで、大物ロクロの伝統工芸士の資格を認定しているのは信楽焼産地だけです。2013年4月現在、全国に大物ロクロ伝統工芸士は5名しかおらず、この希少な技術を守り、伝えていく役割が当社が担っていくべき使命だと感じています。

伝統工芸士プロフィール:プロフィールページ

重蔵窯 会社概要:会社概要ページ

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